「采配力は小さなチームから育つ」Allenさん
氏名:Allen(アレン)
出身国:インドネシア
インタビュー形式:書面(翻訳)
内容:生徒会、他校連携、少人数自治組織
掲載日:2025年6月20日
はじめに:問いから始める生徒自治
大規模な組織でなくても、生徒自治は可能なのか。Allenさんは、約20名で構成されたインドネシアの生徒会で、代表を務めながら「采配する力」を身につけてきました。少人数だからこそ見えた課題と工夫を紹介します。
1|組織構造と選抜のプロセス
Allenさんの生徒会は、全体で約20人。1つの部署に4人ずつ配置され、代表・副代表は投票制で決定されます。最も票を集めた生徒が代表となり、配属はリーダー層が判断します。序列や上下関係は明確に定められていませんが、信頼を軸にチームが機能しているのが特徴です。
2|活動の設計と運営手法
- 活動領域: 校内行事および他校と連携したコンペティションを企画・運営。
- 予算管理: 学校から与えられた予算を活用し、必要経費をまかなう。
- 意思決定構造: オンラインでの会議が中心。顧問教員との協議を通じて方針を決定。少人数のため、議論はスムーズに行われる。
3|象徴的な事例と制度的工夫
代表として活動する中で、Allenさんは「ほとんどが友達」という関係性の中で、業務を回す難しさに直面。形式的な上下関係がない分、心理的な遠慮が業務の妨げになる場面もありました。そこで、業務を「役割」として割り振る方法に切り替え、誰が何をするかを明文化することで解決を図りました。
4|困難とその捉え方
少人数ゆえの親密な関係性は、運営上の衝突を少なくする一方、組織としての客観性を保つことが難しいという課題にもつながります。Allenさんはこの環境で「友達として」ではなく「組織の一員として」動いてもらうための采配力を磨いたと語っています。
5|展望:理想の自治へ向けて
Allenさんは今後、より中立的に機能する「役割基盤型の自治組織」をつくりたいと考えています。誰が上か下かではなく、「その人の役割と責任」で行動できる文化の定着を目指しています。
6|教育的意義と他校への示唆
本事例は、人数や形式に縛られず自治組織を成立させる可能性を示しています。代表や役職に依存せず、「仕事を割り振る力=采配力」が養われる構造は、日本の生徒会にも応用が可能です。
編集後記
インドネシアの少人数生徒会という環境から見えてくるのは、構造よりも関係性に依存する自治のリアルです。人数が少ないからこそ見える「信頼と責任の境界線」は、日本の中規模〜大規模生徒会にも新しい視点をもたらしてくれるでしょう。
※掲載にあたり、ご本人の同意を得ています。
※お問い合わせ:office@act-jp.org